絶対に泣きたくない状況で、
極めて不本意にも関わらず、泣いてしまう経験って
あると思う。
自分が不当な扱いを受けたとき、相手に対して
反論したいのに、涙しか出てこないときがある。
つい最近もあった。
もう20代も折り返しに入ろうという年齢なのに。
多分こういう涙って、大人は隠しているだけで
いくつになっても無くならないのかも。
私の叔父は、悪い人ではないんだけれど
少々デリカシーのない人間で、
正月に会うたび、「太ったか?」
とか「痩せたんじゃない?」とか言ってくる。
1年に1度しか会わない姪っ子への精一杯の
コミニュケーション術なんだとしたら最低で
「そんなことしか言えないから一生独身なんだよ」
なんて最低な言葉は返さないようにしている。
今年の正月は、日本の不況について、これからどうなるのかね
なんて話つつ、父と叔父は盛んに経済に関する談義を開始した。
理解のできる部分とできない部分のグラデーションはあったが
頷きながら聴いていると
「お前全然わかってないだろ」
と小馬鹿にした口調で叔父から一言。
お前、の対象は私だけ。
同じように話を聞いていた姉や弟は自然に除外された。
その瞬間、身体がカッと熱くなって、
恥ずかしさやら悔しさやら、自分でもよくわからない感情が
湧き上がって、「理解しようとはしてるよ」
と言い返せたのが精一杯で、最後はほとんど涙声になってしまった。
すぐにトイレに言って、泣いた。
ああなんで、こんなことで泣いてしまうのか。
新年早々サイアクだ。言われたことよりも、
こうして感情が揺さぶられてしまったことの方が。
やつに泣いたことを勘付かれたかもしれないことの方が。
私が、姉弟に比べて学歴や収入が劣るのは事実だし、
理解できなかった部分があることも事実。
けれど、優秀な姉弟の中で、「頭はよくないが愛嬌はある」
そんな自分の立ち位置を勝手に引き受けて振る舞い出したのは
いつからなんだろう、と考えた。
その役を引き受けたのは私だ。デリカシーのない言葉に対して
嫌だったのにずっと反論しなかったのも私だ。
土壌を作ったのは私自身なのだ。
でも今の私ははっきりわかる。私は悔しいんだ。
愛想笑いで誤魔化したくはなかった。
ガツンと言い返すことはできなかったけれどそれでいい。
私が経済を勉強して、完璧に奴らの話を理解できるようになってから
言い返してやればいい。この悔しさをバネにしてやるしかない。
傷ついて泣いている自分がいる一方で
「奴をいつか半殺しにしてやる」と静かに
息巻く自分がいた。涙は引っ込んだ
大丈夫、幸先いいじゃない。